技術開発STORYに登場する3人の技術者

Project Story

技術開発STORY

MEMBER

  • 技術本部 開発部

    工学部 機械システム専攻 卒業

    Y.H

  • 技術本部 開発部

    工学部 機械工学科 卒業

    N.O

  • 技術本部 設計部

    工学部 機械工学科 卒業

    D.F

ロボットハンドチェンジャーの新規参入に1998年入社のY.H(以下H)が挑戦し、プロトタイプを完成させた。その後2007年入社のN.O(以下O)との協同により販売台数シェアトップにつながる画期的な製品を開発。以降製品のシリーズ化を進め、2023年入社のD.F(以下F)が、さらにブラッシュアップした新製品を完成させる。綿々と紡がれる技術への思いが、3人のインタビューから見えてきた。

Theme 01

モノづくりの未来に欠かせない 「ロボットハンドチェンジャー」 モノづくりの未来に 欠かせない 「ロボットハンド チェンジャー」

世界中のモノづくりの現場で大活躍するロボットハンド。そのロボットハンドは、3つのモジュールで構成されていることをご存じだろうか?

アーム部分がダイナミックに動き、ハンド部分にさまざまなツールを搭載することで「つかむ」「持ち上げる」「移動させる」「加工する」といった多彩な作業が行える。そのアームとハンドをつなぐ“手首”にあたるのが、コスメックが手がけるロボットハンドチェンジャーだ。

ロボットハンドチェンジャーがあることで1台のロボットで複数の作業が行えるようになり、人力で行なっていたツール交換を自動化することで安全性や生産性の向上にもつながる。人手不足が進むこれからの時代に欠かせない存在なのだ。

ロボットハンドチェンジャー
ロボットハンドチェンジャーのシリーズ
対談の様子

Theme 02

市場ニーズを先取りしたアイデアを形に。

ロボットハンドチェンジャーは、コスメックが開発に挑戦する前から、市場には既に存在していた。しかし当時の製品は精度が甘かったため、Hは数年前から「ロボット設備の自動化が進めば、高精度タイプの需要が増えるのではないか」と考えていたという。それはちょうどキャリア10年目、チームのリーダーを任されていた頃。世の中はリーマンショックの真っ只中ということもあり、新たな事業の柱としてFA市場への進出を検討していた。すると偶然、以前から付き合いのある自動車メーカーのエンジニアから開発の相談が舞い込んだ。(このタイミングを逃がせば、次のチャンスは数年後かもしれない。)そう考えたHは「ぜひやらせてください!」と前のめりで即答した。

試作品の第1号が完成したのが、それから4ヶ月後のことだった。さっそく自動車メーカーに送り、他社の4製品もあわせた耐久テストが実施された。その結果は、コスメックのロボットハンドチェンジャーだけがエラー数ゼロだった。「エラー率が低い」と「エラーが一度も出ない」には大きな違いがある。さっそく自動車メーカーからの量産依頼があるかと期待が高まったが、残念ながら予算の関係から話が立ち消えになってしまった。

すでにプロジェクト化し、それなりの開発予算と時間をかけてしまっている。Hは諦めることなく営業担当と2人で全国を行脚し、ロボットハンドユーザーに向けた提案を行なった。しかし、納得のいく成果が出せずにいた。コスメックは製品の精度を売りに営業活動を行なっていたのだが、当時はロボット自体の精度が不安定だったため「ロボットハンドチェンジャーの精度が良くても…」という反応だったのだ。

しかし、開発チームは諦めずに技術を磨き続け、同時にシリーズ化を進めた。Hと協同し、Oは販売台数シェアトップにつながる画期的なモデル「SWR」を開発。Oは工作機械の治具を瞬時に、かつ高精度に位置決め・固定する装置「パレットクランプ」の技術を応用して位置再現精度0.003mmという異次元の精度を実現させた。当時Oはまだ入社3年目。「毎日新しいオーダーにとにかく挑戦し、スキルを高めたい」という思いを持ち、必死に仕事に食らいついていた。

風向きが変わったのは、そこから1年が過ぎた頃。
自動車メーカーから「予算が通りました」と連絡があり、製品が出せる体制が整った。さらにロボットハンドの精度が急速に上がったことで、ロボットハンドチェンジャーにも確かな精度が求められるようになってきたのだ。コスメックのロボットハンドチェンジャーは静かに、しかし確実に市場に浸透していった。

Theme 03

異次元の精度で販売台数シェアトップへ。

「SWR」は基準面と着座面の二面拘束を行うことで連結時のガタつきをなくし、200万回以上の耐久性も誇っている。「SWR」はシリーズ化し、さまざまなサイズのフルラインナップを行うことで、現在も顧客の多様な要望に応え続けている。

開発秘話をOにインタビューしてみると、大変だったのは意外にもメカの精度ではなく電極設計や電気の知識だったという。「ロボットハンドチェンジャー開発にはメカと電気の両方が必要なのですが、当時はロボットハンドチェンジャー開発に特化した電気の専門家が不在でした。電気全般に詳しい社員と協力しながら、試行錯誤して課題をひとつ一つ克服していきました。おかげで電気に関する知見が深められました。」

「SWR」の登場によって業界でのコスメックの知名度は上昇していった。圧巻だったのは、全国各地で開催されている展示会の会場の風景。当初は数社のデモ機に搭載されているだけだった数がどんどん増えていき、今では多くの企業ブースに置かれているデモ機にコスメック製品が使われている。「はじめの頃は会場を回って何社に使われているか数えていたのですが、いつからか数えるのをやめてしまいました。」HとOはそう笑顔で話してくれた。

Theme 04

若手の成長が、 コスメックの未来に光を当てる。 若手の成長が、 コスメックの未来に 光を当てる。

省エネ・カーボンニュートラルへの対応や人とロボットが同じ現場で働くための「協働ロボット」の登場によってロボットハンドチェンジャーにも新たなニーズが生まれ、バネで連結して空気で分離する「STR」が2025年にリリースされた。この新製品の開発メンバーに抜擢されたのが、当時入社2年目のFだった。

「そもそも、ロボットハンドチェンジャーがどのような製品かもよくわかっていなかったので、はじめは不安もありました」と話すFだが、持ち前のポジティブさを活かして必死になって勉強し、先輩たちに食らいついた。「大変さもあったけれど、製品開発に携われる大きなワクワクがあったんです。」とFは振り返る。デビューした「STR」が実際に使われているシーンを見た時にモノづくりの喜びを存分に感じられたというFは、現在も顧客からのカスタマイズ対応や新たなロボットハンドチェンジャーの開発に挑んでいる。

After Talk

これからも“かゆいところに手が届く”製品の開発を。 これからも “かゆいところに手が届く” 製品の開発を。

ロボットハンドチェンジャーの開発に挑んできた3人に、これからの抱負を聞いてみた。

D.F

ロボットハンドチェンジャーに限らず、世の中に役立つ製品の開発に携われたらいいなと考えています。まだまだ経験が浅いので展示会にも積極的に足を運んで知見を重ね、ニーズをつかみたいと思います。あとは、若手がさらに活躍できる環境も整えていきたいです。

N.O

現在は自動車産業をはじめとする工業製品のカテゴリで戦っていますが、将来は食品や医療機器など、これまでとは違った領域で活躍できる製品にもチャレンジしてみたいと思っています。未知の分野に取り組むことで課題解決力を磨き、より幅広い視野を持った技術者へ成長したいと考えています。改善活動や製品開発を通じて得た学びを活かし、積極的なモノづくりを進めていきたいですね。

Y.H

世の中の変化が早いので、私もマーケティングの要素をかなり意識しています。コスメックの技術を使って、どんな付加価値を提供できるかがこれからのテーマだと思っています。O君が話した別領域も当然狙っていきたいですし、まだ誰もが気づいていない隙間を狙って、かゆいところに手が届く製品開発をしていきたいなと思っています。

設計者が計画から試作検証、性能確認まで幅広く関わり、机上の設計にとどまらず現場で課題解決力を磨くことができるコスメック。新しいことに挑戦し継続できる人こそが、未来を拓く力になれる。新たな経験や仲間との連携を通じて、知識を具体的な形や力に変えていける環境が、コスメックには広がっている。

3人の技術者の集合写真