中子シリンダの引抜不良発生!
ブースターなしで改善するには?
お困りごと
F社殿では、サイクルタイム向上のため、型開き動作と同時に中子シリンダを引抜くオーバラップ動作を
行っていたが、製品の品質が安定しなかった。仕方なく、型開き完了後に中子シリンダの引抜きを行う
よう変更したところ、離型抵抗が増し、中子シリンダの引抜力不足による引抜不良が発生した…。
応急対策として、ブースターを採用し引抜力の向上を試みたが、中子シリンダと油圧ホースの
最高使用圧力を超えてしまい、非常に危険な状態である。
ご提案
同サイズ比180%の引抜推力を発揮するハイパワーコアプルシリンダをご提案。
ブースターの導入や、シリンダサイズを上げることなく、パワー不足を解消する。
インタビュー:導入効果を聞く
オーバラップ動作のメリットとデメリットは?
オーバラップ動作を止めた理由は何でしょうか?
元々、サイクルタイムの短縮を狙い、型開き動作と中子引抜動作を
オーバラップさせていました。
ただ、今回の製品の場合は、製品が凝固する初期の段階で
引抜くことになり、形状が保てず、品質悪化の原因になりました。
そこで、オーバラップ動作を止め、型開き動作完了後に
中子を引抜くように変更したのですね。
そうです。ただ、型開き完了後だと製品の凝固が進むため、
離型抵抗が増し、中子シリンダの引抜不良が発生しました。
【型開きと中子引抜きのオーバラップ動作のメリット】 |
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【型開きと中子引抜きのオーバラップ動作のデメリット】 |
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大きくなった離型抵抗の対策にブースターを導入する問題点は?
引抜不良の対策はどうされたのでしょうか?
応急対策として、ブースターを入れて中子シリンダを増圧し、
引抜力を無理やり向上させました。
ブースターによる対策には、何か問題があるのでしょうか?
はい、一つは、中子シリンダと油圧ホースの最高使用圧力を超えて
しまうことです。今回であれば、油圧15MPaから25MPaに増圧
する必要があったのですが、当社で使用している中子シリンダと
油圧ホースの最高使用圧力を超えてしまいます。
それは、いつホースが破裂するか分からない大変危険な状態ですね。
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【問題点】
中子シリンダの引抜力不足により、
中子の引抜不良が発生。
使用圧力:15MPa
シリンダ内径:φ125mm
引抜推力:125kN -
【問題点】
ブースターにより、中子は引抜けるようになったが、
中子シリンダと油圧ホースのスペックを超える高圧を
使う必要がある。
使用圧力:25MPa(ブースターによる)
シリンダ内径:φ125mm
引抜推力:208kN
ブースター以外で、引抜力を上げる方法は?
他に、対策はないのでしょうか?
ブースターを使わず、中子シリンダのサイズアップにより引抜力を
上げる方法もあるのですが、設置スペースの問題があります。
そうですね、元々シリンダのサイズアップ前提で、金型を
製作していないでしょうし、金型の追加工も大変ですしね。
はい、そこで、コスメック製のハイパワーコアプルシリンダを導入
しました。ハイパワーコアプルシリンダは、シリンダサイズを変え
ずに180%の引抜力を発揮することができます。
なるほど!ブースターを使わずに引抜不良を
解消することができるのですね。
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【問題点】
サイズアップにより、ブースターを使用せずに、
中子は引抜けるようになったが、設置スペースを
確保できない場合がある。
使用圧力:15MPa
シリンダ内径:φ150mm
引抜推力:180kN -
【改善】
ハイパワー機構により、一般的な中子シリンダに対して、
180%の引抜力を発揮できるため、ブースターを使用せずに、
引抜不良を解消することができた。
使用圧力:15MPa
シリンダ内径:φ125mm
引抜推力:256kN (押側端~20mm)
ハイパワーコアプルシリンダは、
サイクルタイムの短縮にも貢献する
中子シリンダのサイズアップにより対応する
場合には、他にも、問題点があるのでしょうか?
もう一つの問題点は、サイズアップにより、シリンダ容量が増え、
シリンダ動作時間が長くなってしまうことです。
ハイパワーコアプルシリンダなら、サイズアップも不要で、
それどころか同サイズのシリンダと比較しても、シリンダの動作が
速く、サイクルタイムを短縮することができました。
動作速度が向上し、圧倒的なサイクルタイムの短縮を実現します。
元々、サイクルタイム短縮を狙い、オーバラップ動作を試みた経緯が
あります。結果として、引抜不良の解消と同時にサイクルタイムの
短縮も実現でき、ハイパワーコアプルシリンダには非常に満足して
います。
効果の確認
・ハイパワーコアプルシリンダの採用によって、ブースターを使わずに、
かつ、シリンダサイズφ125mmのまま変更せずに、引抜不良を解消することができた。
・ハイパワーコアプルシリンダは、一般的な油圧シリンダやブースター方式と比較し、
動作が速く、サイクルタイムが短縮でき、生産性を向上することができた。
F社殿 導入設備
【使用ダイカストマシン】
マシン能力:800ton
【導入中子シリンダ】
形式:PCA1253-ACF-280-Z (シリンダ内径φ125mm、ストローク280mm)
引抜推力:255.8 kN (押側端~20mm、油圧15MPa時)